自省録

2015/5/11 2100年の科学ライフ3

【走った距離】  6.32km
【今月の累積距離】  217.71km
【ペース】 平均 5'47"/km、 最高 5'32"/km
【天気】 快晴
【気温】 最高 25℃、最低 10℃
【体重】  64.3kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
ミチオ・カク「2100年の科学ライフ」

③医療の未来

DNA

 物理学と医学の融合により、医療が原子や分子、そして遺伝子にまで細分化された。
この歴史的に重大な変容が始まったのは1940年代、
オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガー--量子論の創始者のひとり--が
「生命とは何か」という名著を著したときだった。
彼は、生物に命を宿らせる「生命力」という神秘的な霊力があるという考えを否定した。
代わりに、すべての生命はなんらかのコード(暗号)にもとづいていて、
そのコードは分子に記されていると推定した。
よってその分子を発見すれば、生命の謎を解き明かせると考えた。
物理学者のフランシス・クリックは、シュレーディンガーの本に触発され、
遺伝学者のジェームズ・ワトソンと手を組んでDNAこそが
その推定した分子だと証明しようとした。
そして1953年、ワトソンとクリックは史上有数と言える重大な発見をなし遂げ、
DNAの構造が二重らせんであることを明らかにした。
DNAの一本鎖をほどくと、長さは1.8メートルほどになる。
そこには、A、T、C、G(アデニン、チミン、シトシン、グアニン)というコードをもつ塩基が
30億個連なって存在する。
DNA分子に沿って並ぶ塩基の正確な配列を解読すれば、「生命の書」を読むことができる。
 分子遺伝学の急速な進歩は、やがて医学史上真に重大な転機となる
ヒトゲノムプロジェクトの誕生をもたらした。
人体の全遺伝子の配列を決定しようというこの大がかりな突貫プロジェクトは、
およそ30億ドルの資金と、世界じゅうで協力する何百人もの研究者の労力を必要とした。
2003年についにプロジェクトが完了すると、科学に新時代の到来が告げられた。
いずれはだれもが、パーソナルゲノム--自分個人のゲノム--をCDROMで
入手できるようになるだろう。
それは、あなたの約2万5000個の遺伝子が一覧できる、あなたの「取扱説明書」となる。

クローン

 クローン作製という概念が世界のメディアを沸かせだのは、
1997年にエディンバラ大学リスリン研究所のイアン・ウィルマットが
クローン羊ドリーの作製に成功したときだった。
成体の羊から細胞を一個取り出し、DNAの入った核を抜き出して、
その核を卵細胞に挿入する。
こうしてウィルマットは、オリジナルの遺伝的コピーを誕生させるという偉業をなし遂げた。
かつて彼に、自分の歴史的発見がメディアに大変な反響を起こすとわかっていたか、
と尋ねたことがある。
答えはノーだった。
彼は、自分の研究の医学的重要性についてははっきり認識していたが、
自分の発見がこれほど世間の人々を惹きつけるとは思っていなかった。

ガン

 現在では、ガンは結局のところ遺伝子の病気だとわかっている。
ウイルスのせいか、化学物質にさらされたからか、放射線のためか、
偶然によるのかはともかく、ガンは、基本的に四つ以上の遺伝子が変異し、
正常な細胞が「死に方を忘れる」ことでできる。
その細胞が、みすがらの増殖の制御を失い、際限なく増えていって、ついには患者を殺す。
ガンになるには、変異遺伝子が四つ以上続けて発生しなければならないという事実は、
最初の発生からえてして数十年後に死亡するわけを説明している。
たとえば子どものころひどい日焼けをすると、何十年も経って
その部位に皮膚ガンができるかもしれない。
つまり、残りの変異がそれだけ長くかかって生じ、最終的に細胞をガン化させた
というわけである。
 ガンを引き起こす遺伝子には、主に少なくともふたつのタイプがある。
それはガン遺伝子とガン抑制遺伝子で自動車のアクセルとブレーキのような役割を果たす。
ガン遺伝子は、踏み込んで戻らなくなったアクセルが車を暴走させるように、
細胞を際限なく増殖させる。
一方、ガン抑制遺伝子はふだんブレーキの役割を果たしているので、
それが損傷を受けると細胞は止まれない車のようになる。
 ガンゲノムプロジェクトは、大半のガンの道伝子について配列を決定しようとしている。
どのガンもヒトゲノム全体の配列を決定する必要があるので、ガングノムプロジェクトは、
元のヒトゲノムプロジェクトの何百倍も野心的と言える。
 この長く待ち望まれていたガングノムプロジェクトが最初に出した結果の一部として、
皮膚ガンと肺ガンのものが2009年に発表されている。
結果は衝撃的たった。
ウェルカム・トラスト財団サンガー研究所のマイク・ストラットンは語っている。
「今私たちの目にしているものが、ガンに対する見方を一変させようとしています。
かつてこんな形でガンの姿が明らかにされたことはありません」
 ある肺ガン細胞に由来する細胞群にはなんと2万3000個の変異があり、
黒色腫のガン細胞には3万3000個の変異があった。
すると、平均的な喫煙者がタバコをで15本吸うたびに変異がひとつ生じていることになる
(肺ガンは世界で毎年100万人の命を奪っており、原因の大半は喫煙だ)

ウィルス(インフルエンザ、HIV、エボラ、風邪)

 万病を治すというのは、人類がとりわけ古くからもつ目標のひとつだ。
しかし2100年になっても、まだ治療できない病気は存在するだろう。
病原体は治療できるようになるよりも先に変異するし、単純に種類が多すぎるからだ。
われわれは細菌とウイルスの海で暮らしている事実をときに忘れてしまうが、
細菌やウイルスは人類が登場する何十億年も前から存在しており、
われわれホモ・サピエンスが姿を消したあともまた、何十億年も存在しつづけるだろう。
 多くの病気は、もともと動物のものだ。
これは、人類がおよそ一万年前から動物の家畜化を始めた代償のひとつと言える。
つまり、動物には数多くの病気がひそんでおり、
それらはきっと人類より長く存続するにちがいないのである。
通常は、これらの病気は少数の人間にしか感染しない。
ところが大都市が発達した現代、こうした伝染病は急速に人類に広まり、
臨界点に達すると一気にパンデミック(世界的大流行)を起こすおそれがある。
 じっさい科学者は、インフルエンザウイルスの遺伝了配列を解析し、
その起源が鳥だと知って仰天した。
多くの鳥は、無症状のまま、インフルエンザウイルスの変異種を保有していられる。
だが、さらに豚が鳥の糞を食べ、ときに遺伝子を混ぜ合わせるボウルの役目を果たす。
そして農家は往々にしてこの両者の近くで生活している。
一部に、インフルエンザウイルスがアジアで生まれることが多いのは、
これが理由だとの推測もある。
アジアの農家は複合畜産をしていて、つまりはカモやブタの間近で生活しているからだ。
 新型インフルエンザ(H1N1)の流行は、鳥や豚のウイルスが変異して起こった
最新の一波にほかならない。
 ひとつの問題は、人類が絶えず新しい環境へ進出し、森林を伐採して
住宅や工場を建設することで、動物にひそむ太古の病気に出くわしてしまうことである。
人類は拡大を続けているため、森林からさらに驚くべきものが見つかることも考えられる。
 一例を挙げると、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がSIV(サル免疫不全ウイルス)に由来する
という十分な遺伝学的証拠がある。
もともとサルに感染していたSIVが、種の障壁を越えてヒトに感染したというのである。
また、ハンタウイルスがアメリカ北西部の人を襲ったのは、彼らが草原に棲む
けい歯類のなわばりに入り込んだからだった。
主にマダニによって媒介されるライム病は、人々がマダニの生息する森林の近くに
家を建てるようになったせいで、アメリカ北東部の郊外に広まった。
エボラウイルスは昔からヒトの部族を襲っていたのだろうが、
感染者が増えて大きなニュースになりだしたのは、
ジェット機での旅行が普及しはじめてからだ。
レジオネラ症も古くからある病気にちがいなく、病原菌は淀んだ水にうじゃうじゃいる。
しかし、大型客船に乗る高齢者にまでこの病気を広めたのは、空調設備の普及だった。
 したがって、今後もたくさんの驚きが待ち受け、新種の病気が未来の報道の見出しを飾る
ことになるだろう。
 残念ながら、そうした病気の治療法はなかなか開発されないかもしれない。
 たとえば、ただの風邪も今のところ治療法がない。風邪薬はどのドラッグストアにも
いろいろあるが、あれは症状を抑えるだけでウイルス自体をやっつけはしない。
問題は、風邪を引き起こすライノウイルスに300以上の型がありそうで、
その300の型すべてに対してワクチンをつくるなど費用がかかりすぎてできない
ということなのだ。
 HIVをめぐる状況はさらに深刻である。
このウイルスには何千種類もの株が存在するようだからだ。
そればかりか、HIVはきわめて変異が速く、あるタイプに対するワクチンを開発しても、
そのウイルスはすぐに変異してしまう。
HIVのワクチンの開発は、動いている標的を撃ち抜こうとするようなものなのである。
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by totsutaki2 | 2015-05-11 23:31 | 読書

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