自省録

2014/2/5 大空のサムライ3 死闘、1対15

【走った距離】  6km
【今月の累積距離】  59.91km
【天気】 晴れ時々小雪 
【気温】 最高 5℃、最低 2℃
【体重】  64.3kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
死闘、1対15
どんなに不利な状況でもあきらめない。
ガダルカナルの空戦で右目の視力を失い、左目の視力も0.7まで落ちたた状態で
硫黄島戦線に復帰。
敵編隊15機に包囲されたが、高度な空戦技能で
みごと攻勢に転じ、一発も被弾することなく無事切り抜けた。
決してくじけない執念。
十三人の刺客を独りで倒した島田虎之助を彷彿させる。
まさにサムライ。
今回も原作は長いので娘さんの手記を短縮。

 右目の視力がほとんどないため、味方編隊と間違えて接近してしまった父の零戦を、
15機のヘルキャットF6Fが大きな円陣を描いて取り囲んだ。
一番先にいた4機がいきなり垂直攻撃をしかけたが、
かなり無理な動きだったので、難なく急旋回して避けた。
これを見た第二陣の4機が追撃姿勢を取るなか、
先の一陣の4機も再び攻撃をしかけてくる。
 交代で次々と襲ってくる敵の機銃攻撃に対し、
機体を横滑りさせて急旋回でかわすのは、大変なGがかかる。
父はその苦しさに「ここでもう動きを止めて、撃たれてしまおうか。
この次の旋回で諦めてしまおうか」と自問する。
 一方で、冷静にこう分析した。
 「同じ状況下で相関関係にあるなら、
同じ人間である自分と相手は生理的に同じ反応をする。
そして、自分が苦しい時は、相手も同じぐらい苦しいはずである」
 相手の追撃を回避しつつ父も反撃に出るが、敵も被弾しない。
どの機も急旋回を続けているため、互いに有効弾が撃てない。
 敵機15機は父の周囲に円陣を描いたまま、代わる代わる反復攻撃をかけてくる。
父は徹底的に追い回されながらも応戦し続けるが、
操縦桿を引きっぱなしにしているので、腕は疲労の極限に達している。
 「もう突破口はない。これ以上戦う力ももはやない。逃げる力さえない。
俺の空戦生活も今日で終わりか」
 しかし、そこで父はふと気づく。これだけの敵機に囲まれているのに、
こちらに 攻撃をしかけるのは、必ず一機ずつである。
 「そうだ。多数で同時に集中攻撃に出ないのは、
互いの接触を避けるための戦闘機乗りの『常識』じゃないか。
ならば俺は、瞬間、また瞬間、頭上にふりかかる刃をかわせばいいのだ」
 まさに宮本武蔵の心境である。
武蔵が『一乗寺下り松の決闘』で吉岡一門と死闘を繰り広げた際、多勢の敵と戦いながら、
その一瞬ごとに斬りかかってくる者とだけ戦った。
そうしながらも武蔵は広範囲に目を配り、敵の攻撃の全体のリズムを心得、
それをいかに崩すかを考えたということを、父は何度も読んだことがあった。
 苦しいのは自分だけではない
 そこで、父は降下や垂直旋回のスピードを変え、姿勢も変え、
横滑りなどの無理な操縦をしながら、高度をどんどん落とし始めた。
敵は、父の位置を読みにくくなり、照準ができないため、有効弾を撃てない。
 とうとう父は、愛機を海面すれすれまで降ろすのに成功した。
もし父を追って急降下しすぎたら、敵は海に突っ込んでしまうことになる。
これを避けると、高度を維持したまま父を射撃することになり、
ますます弾は当たらない。
  一方、海面すれすれで飛ぶ父には、もはや下から攻撃を受ける心配がない。
防御範囲は半分になった。
 これも武蔵の戦法で、多勢を相手に戦う時、
武蔵は死角に敵を置かない鉄則を貫いたという。
川や湖を背にすれば、敵の攻撃範囲は半分。
武蔵はそうやって、敵に囲まれるという最悪の事態を避けた。
 それは、まさに今の父と同じ。
 こうして海面すれすれを飛ぶ父に、ヘルキャットの輪舞が始まった。
敵は一機ずつ代わる代わる撃ちかけてくる。
父はその都度、それをかわす。これを何度も繰り返すうち、
次第に疲れてきた父の旋回が大きくなってきた。
これを見た敵編隊は、一度に複数で攻撃をしかけ始める。
 「今までのような旋回は、これ以上は続けられない」
 そう判断した父は、一か八か、ぱっと右へ切り返した。
敵の包囲網の一角に作った突破口から抜け出すのに成功すると、
父は海面すれすれの高度を保つたまま、それこそ一目散に逃げ出した。
気がつくと、硫黄島の北岸近くまで来ている。
 「ここまで逃げおおせたのなら、死ぬのは残念だ」という気持ちが湧いてきた父は、
夢中で味方認識のバンクを大きく左右に振り、味方基地に向かって、叫んた。
 「撃ってくれ!」
 その時、味方基地から一斉に、敵に向かって地上防御の対空砲火が始まった。
すると、15機のヘルキャットは揃って父への攻撃を打ち切り、
全機が反転して引き揚げていった。
「苦しさは、自分も相手も同じだ。そして、苦しみを感じるのは生きているからなのだ」
 父はまた、その苦しみの長さを冷静に判断していた、
「苦しいのも、相手の燃料が切れるまで、燃料が切れれば、相手は必ず帰っていく」
 永遠の地獄ではない『敵機の燃料が切れるまでのあと何分かを耐えればいいのだと、
くじけそうになる自分に、父は言い聞かせていた。
 この話をするたびに、父はこう言っていた。
 「人間は、そんなもんだよ。皆、大体同じように感じているものだ。なぜ自分だけが、と
思ってしまうと、もっと自分を苦しくしてしまうんだ」
 この15機のうちの1機の米軍パイロットによると、
坂井1機からの攻撃に、むしろ押され気味となり、数で圧倒していたにもかかわらず、
防御隊形を組んで守勢にまわっていたという。
さらに、坂井機の急激な操作についていけずに、
この防御隊形から1機1機弾き飛ばされ、ばらばらになってしまっているのを目撃したという。
坂井の描写以上に、坂井が激しく攻勢に出ていたことを示唆している。


坂井を取り囲んだヘルキャットF6F
b0217643_22515071.png


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by totsutaki2 | 2014-02-05 22:55 | 読書

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