自省録

2014/2/3 大空のサムライ2 ガダルカナルからの生還

【走った距離】  6km
【今月の累積距離】  47.91km
【天気】 曇り 
【気温】 最高 16℃、最低 9℃
【体重】  64.8kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
左半身不随、失明状態、朦朧とした意識で1000kmを奇跡の帰還。
強い生への執着と訓練の成果で無意識でも操縦し、洋上の位置を判断する。
背面飛行になることはあっても墜落はしない。
人間はここまで強くなれる。
原作のこのくだりは私がこれまで読んだ中でも最も感動的な文章のひとつ。
残念ながら非常に長いので、ここでは娘さんの文章をさらに短縮。

 父がガダルカナルヘ出撃したのは、昭和17年8月7日のことです。
 ラバウルからガダルカナルまでは約560カイリ(約1000km、大阪-札幌間とほぼ同じ)。
往復すれば零戦の航続距離ギリギリで、日本海軍最長距離の空襲作戦です。
ガダルカナル上空でアメリカ海軍の新鋭機グラマンF4Fワイルドキャットを相手に対戦し、
父は一機を撃墜しました。
 この直後、父は敵の戦闘機の別の編隊を発見しました。
友機を置いてきぼりにするかのように、単機で編隊に急接近していったのです。
これが、運命の分かれ目となったのです。
引き金を握ったまさにその瞬間-戦闘機編隊ではなく、
爆撃機SBDドーントレスの編隊であることに気づいたのです。
 敵編隊8機の後部砲塔各2挺、合わせて機銃全16挺が、
ぴたりとその銃口を父の機体に向け、冷然と待ち構えています。

 もはや敵からの機銃射撃を回避できる段階ではない。
 そうとっさに判断した父は、敵との相討ちを覚悟しました。
 目をつぶる思いでこのSBDの編隊に突っ込みながら、
20ミリと7.7ミリ機銃の発射把柄を折れるほどに握りっぱなしにします。
父の放った機銃弾で、敵機2機がいっぺんに炎上したように見えた瞬間、
父も敵機からの集中砲火を浴びたのです。まるで砂をつかんで
投げつけられるように、7.7ミリの機銃弾の束が零戦の風防を破壊しました。
 父は頭部に被弾しました。頭を野球のバットで一撃されたような感じがして、
すーっと意識が遠のいていったそうです。
同時に遮風板が吹っ飛んだらしく、ものすごい風圧で後頭部を激しくぶつけました。
 この時、墜ちていく父の、意識を失いかけた脳裏に
母親の叱咤の声を聞き、我に返って、機体を水平に戻すことに成功したのです。

 しかし、頭部への被弾で左半身は麻痺状態になり、
右目にも多数の細かい金属の破片が突き刺さって、視界が利かなくなっています。
 たった独りで、海面に激突か――。
 そう思い始めた頃、傷の痛みでかえって意識がはっきりしてきたのを実感します。
手探りで確かめてみると、頭のてっぺんの傷は指がズルッと入ってしまう裂傷で、
指先に柔らかく脳ミソを感じるほどです。
また、右目は出血のためか、ただ真っ赤な色が見えるだけ。
失明状態となっています。
 これで戦死かと思った父は妙に冷静になり、その時ようやく、
自機が今もなお順調に飛んでくれているのに気づいたのです。
 どうせ死ぬにしても、この機を無事に味方基地に着陸させよう。
そうすれば、戦友たちが自分の代わりに飛んでくれるだろう――。
 父はここで生還を新たに決意したのです。
 そうと決まれは、まずは止血です。自分の唾でベトベトの血糊をぬぐい取り、
見えるようになった左目で計器を確認すると、燃料はまだじゅうぶんあるようです。
エンジンの回転も順調です。
 頭の傷と飛行帽の間に絹のマフラーをつめ込むと、何とか出血は治まりました。
しかし少しほっとすると、今度は睡魔が襲ってきました。やはり駄目か。
死んでしまえば、楽になれる。すると頭の傷がひどく痛み出して、父の目を覚まさせます。
 生きようとすると意識が薄れ、死のうと決めると意識が戻る。
 父はこの最悪の事態にあって、なお平常心を保とうと自制し、機の傾きを整えます。
 とにかく帰る方向を定めなければ。
 しかし、自分の現在位置と飛行方向が分かりません。
太陽の位置と変化を頼りに、記憶と経験を呼び覚まして、
ラバウルの基地があるはずの地球上の一点を心に描き、
それに向かって飛ぶことに決めます。
狭いコックピットの中で、見渡す限り続く洋上を、まさに自らの命を運ぶがごとく、
基地への生還だけをかけて、父は飛行を続けました。
そして被弾してから4時間47分、560カイリの孤独な飛行の後、
わが台南航空隊の待つラバウル基地へ生還します。
 そして、全隊員が見守る中、愛機零戦を傷つけることなく、
見事な着陸を果たしたのです。


坂井が撃墜したグラマンF4Fワイルドキャット。
b0217643_23193085.png


坂井を攻撃したSBDドーントレス。後部砲座が見える。
b0217643_232051.jpg



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by totsutaki2 | 2014-02-03 23:26 | 読書

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