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自省録

2013/10/17 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

【走った距離】  3km
【今月の累積距離】  184.95km
【天気】 快晴
【気温】 最高 20℃、最低 14℃
【体重】  64.0kg
【コース】
淀駅~会社(片道)
【コメント】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹の最新刊。
前作の「1Q84」ほど話題になっていないのでそれほど期待していなかったのだが、
それなりに楽しめた。

村上の小説によくある自分探しの旅の話。
今回は一度金縛りになるだけで、2つの月も壁抜けも猫狩りジョニー・ウォーカーも出てこない。
ラストは語られず、読み手にゆだねる。
(沙羅に受け入れられるのか受け入れられないのかは問題ではない。)
重要なことは自分を見つけたこと。
「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」
「僕らはあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。
そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない」
このラストには物足りなく思うひともいるかもしれないが、
私には「1Q84」の推測の余地のないハッピーエンドよりも、
今回のハッピーエンドかアンハッピーエンドかわからない終わり方の方が
余韻を楽しめて好ましい。

主人公多崎つくる君は自分を求めて巡礼者のように遍歴する。
訪れる先は寺社ではなくて、昔の親友。
15年前の真実が告げられ、自分自身を発見していく。
設定がやや強引だが、「20世紀少年」に比べれば遥かに自然。

村上春樹の小説にしては奥行きがない。
様々なモチーフが消化不良。
例えばつくる君以外の登場人物は苗字に赤や青、黒、白、灰などの色が付いているが、
つくる君の苗字には色がない。
小説のタイトルにもなっているぐらいだから、重要な意味があるはずだが、
追及が不十分。
無色こそがつくる君の個性といいたいのか、
色即是空、あらゆる事象には実体がないといいたいのか?
本来ならまだまだ推敲するものを途中でやめたような印象を受ける。
この物語はこれ以上寝かせても発展しないと見切りをつけたのかもしれない。

主人公がじぶんのことを「おれ」と呼んでいたのも落ち着かなかった。

村上春樹の小説では音楽が重要な役割を演じる。
「国境の南、太陽の西」ではナット・キング・コール、
「海辺のカフカ」では ベートーヴェン ピアノ三重奏曲 第7番《大公》
「1Q84」では ヤナーチェクの『シンフォニエッタ』
今回はリスト『巡礼の年/ル・マル・デュ・ペイ』
2013/10/17 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年_b0217643_22551928.jpg






by totsutaki2 | 2013-10-17 22:57 | 読書

市民ランナーの市井の日常。 日々の出来事、感動を忘れないために
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