自省録

2013/5/12 フランクルとの〈対話〉: 苦境を生きる哲学 3

【走った距離】  12.87km
【今月の累積距離】  197.46km
【ペース】 平均 6'11"/km、 最高 5'41"/km
【天気】 快晴 
【気温】 最高 26℃、最低 17℃
【コース】
自宅~私市
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【コメント】
「創造価値」
ある青年が、フランクルに反論した。
「あなたはなんとでもいえますよ。
あなたは現に、相談所を創設されたし、
人々を手助けしたり、立ち直らせたりしている。
でも、私はといえば……。私をどういう人間だとお思いですか。
私の職業をなんだとお思いですか。一介の洋服屋の店員ですよ。
私はどうしたらいいんですか。私は、どうすれば人生を意味のあるものにできるんですか」

この青年は、なにをして暮らしているか、
どんな職業についているかは結局どうでもよいことで、
むしろ重要なことは、自分の持ち場、自分の活動範囲において
どれほど最善を尽くしているかだけだということを理解していなかった。
各人の具体的な活動範囲内では、ひとりひとりの人間がかけがえなく代理不可能なのである。
各人の人生が与えた仕事は、その人だけが果たすべきものであり、
その人だけに求められている。

何のために働くのか 黒澤明 『生きる』
この映画の主人公は、かつて「休まず、遅れず、働かず」と那楡されたような
典型的な地方公務員(市役所の市民課長)であるが、
妻に先立たれ、自分も末期の胃ガンで余命半年ということがわかる。
そこで、彼は、それまでの自分の人生は一体何だったのか、生きる意味は何なのか、
と悩み始め、ついに役所がつまらないといって退職する。
そんなある日、彼は偶然、町工場で働く若い女性と知り合いになり、
彼女の生き生きした様子にひかれていく。
彼は喫茶店の二階で彼女と向き合い、死期迫る自分の胸のうちを次のように語り始める。

「……君はどうしてそんなに活気があるのか、全く活気がある。
それが私にはうらやましい。わしは死ぬまで、一日でもいいからそんなふうに生きたい。
そうでなければとても死ねない。何かをしたい、が、それがわからない。
教えてくれ。どうしたら君のようになれるのか。」

主人公はここで一気に、驚くほどの迫力で自分の思いを語る。
その迫力に圧倒された彼女はびっくりした様子で、
「だって私……、ただ働いて、食べて……」と返答する。
「それか」と叫ぶ主人公に対し、
「それだけよ。本当よ。私、ただ、こんなもの(小さなウサギのおもちや)作っているだけよ。
こんなものでもね、作っていると楽しいわよ。
これを作り始めてから、私、日本中の赤ん坊と仲良しになった気がするの。
課長さんも何か作ってみたら……」と彼女は答える。
「役所で一体、何が……」とうなだれる主人公は、しかし少し考えて、
「いや、あそこでもできる。やる気になれば……」と立ち上がり、
「私にも何かできる」とつぶやきながら階段を降りて行く。

まもなく職場にもどった主人公は、役所でタライ回しにされている住民の陳情を引き受け、
要望の市民公園を造るために奔走するようになる。
かつてのような時間つぶしのための仕事ぶりとはうって変わった職場での姿である。
現地視察の帰り道、夕焼け空を眺めて、
「この30年間、こんな美しい夕陽は見たことがなかった」とつぶやくシーンが印象深い。
自らのなすべき仕事を見つけ、生きる意味を実感したとき、この世界が美しく見えたのである。
やがて公園は完成し、その公園のブランコに乗って主人公は生を終えるのである。

主人公は、子どもや親たちの喜ぶ姿を見て、自分も心からの喜びを感じる。
そして、もうこれで死んでもよいというほどの充実感も感じる。
このことは、生きる意味とか喜びというものが、
自分中心的なあり方から出てくるのではなく、
その自分をコペルニクス的に転回したところから出てくるということを示しているのではないか。
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by totsutaki2 | 2013-05-12 20:15

市民ランナーの市井の日常。 日々の出来事、感動を忘れないために
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