自省録

2012/12/25 「夜と霧」再読4 人間としての最後の自由2

【走った距離】  6km
【今月の累積距離】  271.66km
【天気】 晴れ 
【気温】 最高 7℃、最低 0℃
【体重】  64.6kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
人間としての最後の自由の続き。
困難な状況でこそ人間の真価は発揮された。
勇敢で、プライドを保ち、無私の精神をもちつづけたか?

 ひとりの人間が避けられない運命と、
それが引き起こすあらゆる苦しみを甘受する流儀には、
きわめてきびしい状況でも、また人生最期の瞬間においても、
生を意味深いものにする可能性が豊かに開かれている。
勇敢で、プライドを保ち、無私の精神をもちつづけたか、
あるいは熾烈をきわめた保身のための戦いのなかに人間性を忘れ、
あの被収容者の心理を地で行く群れの一匹となりはてたか、
苦渋にみちた状況ときびしい運命がもたらした、
おのれの真価を発揮する機会を生かしたか、あるいは生かさなかったか。
そして「苦悩に値」したか、しなかったか。

 このような問いかけを、人生の実相からはほど遠いとか、
浮世離れしているとか考えないでほしい。
たしかに、このような高みにたっすることができたのは、
ごく少数のかぎられた人びとだった。
収容所にあっても完全な内なる自由を表明し、
苦悩があってこそ可能な価値の実現へと飛躍できたのは、
ほんのわずかな人びとだけだったかもしれない。
けれども、それかたったひとりだったとしても、
人間の内面は外的な運命より強靭なのだということを証明してあまりある。

 人間の真価は収容所生活でこそ発揮されたのだ。
おびただしい被収容者のように無気力にその日その日をやり過ごしたか、
あるいは、ごく少数の人びとのように内面的な勝利をかちえたか、ということに。

 わたしは、ひとりの仲間について語った。
彼は収容所に入ってまもないころ、天と契約を結んだ。
つまり、自分が苦しみ、死ぬなら、代わりに愛する人間には
苦しみに満ちた死をまぬがれさせてほしい、と願ったのだ。
この男にとって、苦しむことも死ぬことも意味のないものではなく、
犠牲としてのこよなく深い意味に満たされていた。
彼は意味もなく苦しんだり死んだりすることを望まなかった。
わたしたちもひとり残らず、意味なく苦しみ、死ぬことは欲しない。
この究極の意味をここ、この居住棟で、今、実際には見込みなどまるでない状況で、
わたしたちが生きることにあたえるためにこそ、
わたしはこうして言葉をしぼりだしているのだ、
とわたしは語り納めた。
 わたしの努力が報われたことを知ったのは、それからほどなくのことだった。
居住棟の梁に電球がひとつともった。
そしてわたしは、涙を浮かべてわたしのほうへ、
礼を言おうとよろめき寄ってくるぼろぼろの仲間の姿を見たのだ。
しかし、この夜のように、苦しみをともにする仲間の心の奥底に触れようと
ふるい立つだけの精神力をもてたのはごくまれなことで、
こうした機会はいくらでもあったのにそれを利用しなかったことを、
わたしはここで告白しなければならない。

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by totsutaki2 | 2012-12-25 21:45 | 心の使い方

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