自省録

2012/9/3 ジュリアス・シーザー

【走った距離】  6.02km
【今月の累積距離】  46.59km
【天気】 曇りのち雷雨 
【気温】 最高 31℃、最低 26℃
【体重】  63.7kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
ジュリアス・シーザー

ウィリアム・シェイクスピア
福田恆存訳、新潮文庫
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プルタルコス英雄伝を基にシェイクスピアが戯曲化したローマ史劇。
1599年グローブ座のこけら落としとして上演された。
この戯曲からシェイクスピアは四大悲劇を含む一連の悲劇を描きだしたので、
この後は悲劇時代と呼ばれる。

語法も文体も簡潔、かつ率直。
私は素直にローマ時代の物語として読んだ。

以下に印象的な台詞を抜き出す。

カエサルらしい簡潔な台詞

シーザー もっと肥っていてもらいたいものだな! 
いや、気にかけはせぬ。
ただ、もしこのシーザーの名にとって気にかかる何者かがあるとすれば、
まず誰よりも先に遠ざけねばならぬ人物が、
あの痩せたキャシアスだ。あの男は本を読みすぎる。
なんでもよく見える。人のすることが底の底まで見とおしだ。
やつは芝居が嫌いだ、お前とは違うな、アントニー。
音楽も聴こうとしない。めったに笑わぬ。
たまに笑えば、それはまるでおのれを嘲るような、
そしてうっかり笑いを洩らしたおのれの心をさげすむような、そんな笑いだ。
ああいう男は自分より強大な人物を見ると、
もうそれだけでおもしろくなくなる。
だから、非常に危険だというのだ。
いや、おれが言いたいのは、ただどういう人物が恐るべきかということだけだ、
それをおれが恐れているということではない。
いかなるときにも、おれはシーザーだからな。
右に来てくれ、こちらの耳は聞えないのだ、
あの男をどう思っているか、ひとつお前の本音を聞かせてくれぬか。

シーザー 人の力で避けうると思うのか、
全能の神々が定めたもうたことを? 
何か起ろうとも、シーザーは出かけるのだ。
よいではないか、それらの前兆はこの世のすべてに向けられたもの、
なにもシーザー一人のためではあるまい。


カシウスの陰謀
オセロのイアーゴを彷彿させる。

キャシアス よし、おれが訪ねよう。
それまで事態をよく考えておいてくれ。(ブルータス退場)
うむ、ブルータス、きさまは高潔の士だ。
が、なあに、その立派な精神も細工ひとつ、
持前の性質とは違ったものに仕立てあげられぬでもあるまい。
だからこそ、高潔の士はつねに高潔の士を友としなければならぬわけだ。
どこにいるな、おだてにのらぬほど厳しい人間が? 
シーザーはおれを嫌っている、が、ブルータスはかわいがっている。
もしこのおれがブルータスで、やつがキャシアスになったとしても、
おれなら、そんな甘やかしに乗ぜられはしないのだが。
よし、今夜、いろいろ筆蹟を変えて、
ブルータスの家の窓に手紙を拠りこんでやろう。
市民がよこしたように見せかけるのだ。
それには、いかにローマ人が
ブルータスの名に絶大な期待をよせているかを書き、
ついでにそれとなくシーザーの野心を仄しておくのだ。
そうなったら、いいか、シーザー、しっかり椅子につかまっていろよ、
精々ゆさぶってやるからな、それでも落ちねば、事態はもっと悪くなる。


3月15日の前の怪異現象

キャスカ 例の市の奴隷だ---きみも見てよく知っている---
奴め、左手を高く上に押していた、
見ると、それが焔を吹いて燃えている、まるで大束のたいまつのように。
しかもその手が火を感じない、火傷もせずにじっとしているではないか。
まだある---あれから、おれはずっとこうして抜身のままだ---
そうだ、議事堂の前で獅子に出遭ったのだ、
そいつはおれをじっと睨んだまま、
べつに危害を加えようとするでもなく、
むっつりした顔つきで通りすぎた。
すると向うに---かたまりになって集っているものがある、
百人ばかりの女の群だ、恐怖に蒼ざめ、生きたそらはない。
それが口々に言うのだ、全身焔にくるまった男たちが街々を練り歩くのを見たと。
それに、きのうは、夜の鳥が、真昼間だというのに、
広場に舞い降りて、たえず鳴きたてていたそうだ。
こうしていろんな前兆が一どきに起っている、
それを、むげに抑けられはしまい、
「いずれも然然の理由あってのこと、少しも不思議はない」などと。
いや、それこそ、思うに、
この国に何か不吉なことの起る前知らせに相違ないのだ。


シーザーの最期

シーザーは椅子から立ちあがり、逃げようとする。
賠殺者たちはそれをポンペイ像の前まで追いつめ、めったぎりにする。
シーザーは手負いのまま、しばらく立ちつくしているが、
ブルータスが襲いかかるのを見て、顔を蔽う。
シーザー お前もか、ブルータス? それなら、死ね、シーザー!


アントニウスの演説
ブルータス、カシウスの望みを打ち砕く、カエサルへの追悼。

アントニー 友よ、ローマ市民よ、同胞諸君、耳を貸していただきたい。
今、私がここにいるのは、シーザーを葬るためであって、讃えるためではない。
人の悪事をなすや、その死後まで残り、
善事はしばしば骨とともに土中に埋れる、
シーザーもまたそうあらしめよう……
高潔の士ブルータスは諸君の前に言った、シーザーは野心を懐いていたと。
そうだとすれば、それこそ悲しむべき欠点だったと言うほかはない。
そしてまた、悲しむべきことに、シーザーはその酬いを受けたのだ……
私は、ブルータスおよびその他の人との承認を得て、
それも、ブルータスが公明正大の士であり、その他の人々とて同様、
すべて公明正大の人物なればこそ、
今こうしてシーザー追悼の言葉を述べさせてもらえるわけだが………
シーザーはわが友であり、私にはつねに誠実、かつ公正であった。
が、ブルータスは言う、シーザーは野心を懐いていたと。
そして、ブルータスは公明正大の士である……
生前、シーザーは多くの捕虜をローマに連れ帰ったことがある、
しかもその身代金はことごとく国庫に収めた。
かかるシーザーの態度に野心らしきものが少しでも窺われようか? 
貧しきものが飢えに泣くのを見て、シーザーもまた涙した。
野心はもっと冷酷なもので出来ているはずだ。
が、ブルータスは言う、シーザーは野心を懐いていたと。
そして、ブルータスは公明正大の士である。
みなも見て知っていよう、過ぐるルペルカリア祭の日のことだ、
私は三たびシーザーに王冠を捧げた、が、
それをシーザーは三たびしりぞけた。
果して、これが野心か? 
が、ブルータスは言う、シーザーは野心を懐いていたと。
そして、もとより、ブルータスは公明正大の士である。
私はなにもブルータスの言葉を否定せんがために言うのではない、
ただおのれの知れるところを述べんがために、今ここにいるのだ。
みなもかつてはシーザーを愛していた、
もちろん、それだけの理由があってのことだ。
とすれば、現在いかかる理由によって、
シーザーを悼む心をおさえようとするのか? 
ああ、今や分別も野獣のもとに走り、人々は理性を失ってしまったのか!………
みな、許してくれ、私の心はあの柩のなか、シーザーと共にあるのだ、
それが戻ってくるまでは先が続けられぬ。(泣く)

アントニー もし、諸君に涙かあるなら、今こそ、それを流すときだぞ。
みな、このマントルに見覚えかあるはずだ。
おれには忘れられない、はじめてシーザーがそれを着た日のことが、
夏の夕、戦場の天幕のなかで。
その日、シーザーはネルヴィイ族を打ち破ったのだ。
見ろ、ここをキャシアスの短剣が刺し貫いたのだ。
見るがいい、
この酷い傷口こそ憎むべきキャスカの手のあとだ。
そして、これが、あれほどシーザーに愛せられた
ブルータスの刃のあとなのだ。
奴がその呪われた剣を引き抜いたとき、
想ってもみろ、シーザーの鮮血がさっと迸り、
まるで戸口を押し開けるような勢て剣のあとを追い、
今の無法な訪いの主がまさかブルータスではあるまいと、
それを確めようとしたに違いないのだ。
そうではないか、ブルータスこそ、みなも知っていようが、
いわばシーザーの天使だった。
神々も御照覧いただきたい、
シーザーはどんなにあの男を愛していたことか! 
この傷こそ、他のどれよりも無慈悲の一撃、そうではないか、
さすがのシーザーもおのれを刺さんとするブルータスの姿を眼前に見て、
いかかる裏切者の腕よりもはるかに非情のその忘恩に、
まったく打砕かれてしまったのだ。
気魄に満ちた心臓もついにおのれを支えきれず、
面をマントルに包むや、あのポンペイの脚下に、
あたかもその像が吹きだす血の海に身を浸しでもするように、
シーザーの巨躯は崩れ落ちたのだ。
ああ、なんたる破滅の姿か、
同胞諸君!今や、私が、そして諸君が、ともどもに打ち倒されたのだ、
しかも、そのとき、凶悪無慙の反逆がわれらの頭上にわが世の春を謳っている。
ああ、みな泣いているな、おれにはよく解る、
心中、側隠の情を禁じえぬのであろう。
まさに聖なる恵みの露と言うべきだ。
心やさしきものたち、
その涙はただシーザーの衣の傷痕を見ただけで流されると言うのか? 
それなら、これを見るがいい、これこそシーザーその人だ、
暗殺者どもの手に斬りさいなまれたこの姿を。


ナポリ国立考古学博物館所蔵のカエサル像
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地獄の最下層でルシファーの右顔と左顔によって永遠に噛み殺され続ける
ブルータスとカシウス
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by totsutaki2 | 2012-09-03 22:25 | 読書

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