2012/7/21 ハムレット
【走った距離】 19.55km
【今月の累積距離】 235.97km
【天気】 晴れのち雨
【気温】 最高 31℃、最低 27℃
【体重】 63.8kg
【コース】
枚方新橋~豊里大橋
【コメント】
ハムレット
ウィリアム・シェイクスピア
福田恆存訳、新潮文庫
ハムレットというと優柔不断の典型として扱われるが、
原作を読んだ印象は強い意志と果敢な行動力の人。
優れた人物が父王の復讐を遂げつつも、
図らずも毒薬に倒れざるを得なかったところが、
四大悲劇の四大悲劇たるところ。
余りにも有名な台詞
To be, or not to be: that is the question.
生か、死か、それが疑問だ、
どちらが男らしい生きかたか、
じっと身を伏せ、不法な迎合の矢弾を堪え忍ぶのと、
それとも剣をとって、押しよせる苦言に立ち向い、
とどめを刺すまであとには引かぬのと、一体どちらが。
いっそ死んでしまったほうが。
死は眠りにすぎぬ---それだけのことではないか。
眠りに落ちれば、その瞬間、一切が消えてなくなる。
胸を痛める憂いも、肉体につきまとう数々の苦しみも。
願ってもないさいわいというもの。
死んで、眠って、ただそれだけなら!
眠って、いや、眠れば、夢も見よう。
それがいやだ。
この生の形骸から脱して、永遠の眠りについて、
ああ、それからどんな夢に悩まされるか、
誰もそれを思うと--いつまでも執着が残る、こんなみじめな人生にも。
さもなければ、誰が世のとげとげしい非難の鞭に堪へ、
権力者の横暴や奢れるものの蔑みを、黙って忍んでいるものか。
不実な恋の悩み、誠意のない談判のまどろこしさ、
小役人の横柄な人あしらい、
総じて相手の寛容をいいことに、のさばりかえる小人輩の傲慢無礼、
おお、誰が、好き好んで奴らの言いなりになっているものか。
その気になれば、短剣の一突きで、いつでもこの世におさらば出来るではないか。
それでも、この辛い人生の坂道を、不平たらたら、汗水たらしてのぼって行くのも、
なんのことはない、ただ死後に一抹の不安が残ればこそ。
旅だちしものの、一人としてもどってきたためしのない未知の世界、
心の鈍るのも当然、見たこともない他国で知らぬ苦労をするよりは、
慣れたこの世の煩いに、こづかれていたほうがまだましという気にもなろう。
こうして反省というやつが、いつも人を臆病にしてしまう。
決意の生き生きした血の色が、憂鬱の青白い顔料で硬く塗りつぶされてしまうのだ。
乾坤一擲の大事業も、その流れに乗りそこない、行動のきっかけを失うのが落ちか--
Get thee to a nunnery!
ちゃんと知っているぞ。
きさまたちは、神から授った顔があるのに、それを紅白粉で塗りたくり、
まったく別物の仮面をつくりあげる。踊り狂う。尻をふる。
甘ったれた口をきく。
神の造ったものに妙な糾名をつける。
あげくのはては、とんでもないふしだらをしでかしておいて「いけなかったの?」
などとぬけぬけと。
ええい、もう我慢ができぬ。
おかけで気が狂った。
結婚などいうものは、もうこの世から消えてなくなれ--
すでにしてしまったものはしかたがない。
ま、生かしておいてやろう、一組を除いてはな。
が、ほかのものは、いまのまま生涯ひとりでいるのだぞ。
さ、行ってしまえ、尼寺へ。
小川のふちに柳の木が、白い葉裏を流れにうつして、斜めにひっそり立っている。
オフィーリアはその細枝に、きんぽうげ、いらくさ、ひな菊などを巻きつけ、
それに、口さがない羊飼いたちがいやらしい名で呼んでいる紫蘭を、
無垢な娘たちのあいだでは死人の指と呼びならわしているあの紫蘭をそえて。
そうして、オフィーリアはきれいな花環をつくり、
その花の冠を、しだれた枝にかけようとして、よじのぼった折も折、
意地わるく枝はぽきりと折れ、花環もろとも流れのうえに。
すそがひろがり、まるで人魚のように川面をただよいながら、
祈りの歌を口ずさんでいたという、死の迫るのも知らぬげに、
水に生い水になずんだ生物さながら。
ああ、それもつかの問、ふくらんだすそはたちまち水を吸い、
美しい歌声をもぎとるように、あの憐れないけにえを、
川底の泥のなかにひきずりこんでしまって。
それきり、あとには何も。
【今月の累積距離】 235.97km
【天気】 晴れのち雨
【気温】 最高 31℃、最低 27℃
【体重】 63.8kg
【コース】
枚方新橋~豊里大橋
【コメント】
ハムレット
ウィリアム・シェイクスピア
福田恆存訳、新潮文庫
ハムレットというと優柔不断の典型として扱われるが、
原作を読んだ印象は強い意志と果敢な行動力の人。
優れた人物が父王の復讐を遂げつつも、
図らずも毒薬に倒れざるを得なかったところが、
四大悲劇の四大悲劇たるところ。
余りにも有名な台詞
To be, or not to be: that is the question.
生か、死か、それが疑問だ、
どちらが男らしい生きかたか、
じっと身を伏せ、不法な迎合の矢弾を堪え忍ぶのと、
それとも剣をとって、押しよせる苦言に立ち向い、
とどめを刺すまであとには引かぬのと、一体どちらが。
いっそ死んでしまったほうが。
死は眠りにすぎぬ---それだけのことではないか。
眠りに落ちれば、その瞬間、一切が消えてなくなる。
胸を痛める憂いも、肉体につきまとう数々の苦しみも。
願ってもないさいわいというもの。
死んで、眠って、ただそれだけなら!
眠って、いや、眠れば、夢も見よう。
それがいやだ。
この生の形骸から脱して、永遠の眠りについて、
ああ、それからどんな夢に悩まされるか、
誰もそれを思うと--いつまでも執着が残る、こんなみじめな人生にも。
さもなければ、誰が世のとげとげしい非難の鞭に堪へ、
権力者の横暴や奢れるものの蔑みを、黙って忍んでいるものか。
不実な恋の悩み、誠意のない談判のまどろこしさ、
小役人の横柄な人あしらい、
総じて相手の寛容をいいことに、のさばりかえる小人輩の傲慢無礼、
おお、誰が、好き好んで奴らの言いなりになっているものか。
その気になれば、短剣の一突きで、いつでもこの世におさらば出来るではないか。
それでも、この辛い人生の坂道を、不平たらたら、汗水たらしてのぼって行くのも、
なんのことはない、ただ死後に一抹の不安が残ればこそ。
旅だちしものの、一人としてもどってきたためしのない未知の世界、
心の鈍るのも当然、見たこともない他国で知らぬ苦労をするよりは、
慣れたこの世の煩いに、こづかれていたほうがまだましという気にもなろう。
こうして反省というやつが、いつも人を臆病にしてしまう。
決意の生き生きした血の色が、憂鬱の青白い顔料で硬く塗りつぶされてしまうのだ。
乾坤一擲の大事業も、その流れに乗りそこない、行動のきっかけを失うのが落ちか--
Get thee to a nunnery!
ちゃんと知っているぞ。
きさまたちは、神から授った顔があるのに、それを紅白粉で塗りたくり、
まったく別物の仮面をつくりあげる。踊り狂う。尻をふる。
甘ったれた口をきく。
神の造ったものに妙な糾名をつける。
あげくのはては、とんでもないふしだらをしでかしておいて「いけなかったの?」
などとぬけぬけと。
ええい、もう我慢ができぬ。
おかけで気が狂った。
結婚などいうものは、もうこの世から消えてなくなれ--
すでにしてしまったものはしかたがない。
ま、生かしておいてやろう、一組を除いてはな。
が、ほかのものは、いまのまま生涯ひとりでいるのだぞ。
さ、行ってしまえ、尼寺へ。
小川のふちに柳の木が、白い葉裏を流れにうつして、斜めにひっそり立っている。
オフィーリアはその細枝に、きんぽうげ、いらくさ、ひな菊などを巻きつけ、
それに、口さがない羊飼いたちがいやらしい名で呼んでいる紫蘭を、
無垢な娘たちのあいだでは死人の指と呼びならわしているあの紫蘭をそえて。
そうして、オフィーリアはきれいな花環をつくり、
その花の冠を、しだれた枝にかけようとして、よじのぼった折も折、
意地わるく枝はぽきりと折れ、花環もろとも流れのうえに。
すそがひろがり、まるで人魚のように川面をただよいながら、
祈りの歌を口ずさんでいたという、死の迫るのも知らぬげに、
水に生い水になずんだ生物さながら。
ああ、それもつかの問、ふくらんだすそはたちまち水を吸い、
美しい歌声をもぎとるように、あの憐れないけにえを、
川底の泥のなかにひきずりこんでしまって。
それきり、あとには何も。
by totsutaki2
| 2012-07-21 18:36
| 読書
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