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自省録

2013/7/30 アンナ・カレーニナ

【走った距離】  5.71km
【今月の累積距離】  246.18km
【ペース】 平均 6'01"/km、 最高 5'53"/km
【天気】 晴れのち雨 
【気温】 最高 31℃、最低 29℃
【体重】  65.9kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
復讐はわれにまかせよ、われは仇をかえさん 
旧約聖書 申命記 32章35節

文豪レフ・トルストイは意外なことに長編は3作しか残していない。

36歳から41歳の時に書いた『戦争と平和』と、
45歳から49歳の時に書いた『アンナ・カレーニナ』と、
71歳の時に書いた『復活』。

私は中学時代に「復活」を高校時代に「戦争と平和」を読んだが、
「アンナ・カレーニナ」は不倫譚ということで食指が動かされず、今まで読んでいなかった。
今回は非常に面白かったが、若いころに読んでも十分に理解ができず、
楽しめなかったと思う。

一言でストーリーを説明すると若い将校に誘惑された人妻アンナの話だが、
文庫本にして1500ページ以上の大作。
19世紀文学の例に漏れず、ゆったりとしたストーリー展開。
97ページ目に初めてアンナを誘惑する将校のヴロンスキー登場し、
117ページ目になってはじめてアンナが登場する。
またアンナが死んだ後、89ページも話が続く。

登場人物は150人。
「戦争と平和」の500人以上に比べると少ないが、綿密な人物描写が施されている。
その中でも主な登場人物は次の5人。

主人公 アンナ
アンナの夫 カレーニン
アンナと駆け落ちする ヴロンスキー
アンナの兄嫁の妹 キテイ
キテイの夫 リョーヴィン

余りにも有名な冒頭の文章、
「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、
不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである。」
が示すように、それぞれの登場人物が自分の不幸を苦悩し、
あるものは物語の中で精神的成長をとげ、あるものは絶望する。
苦悩するアンナ、カレーニン、ヴロンスキーと
成長するリョーヴィン、キテイの対比が鮮明。
人は自尊心と欺瞞に押しつぶされ、体裁から自由になり他人を許すことにより成長する。
読み手は輪舞を踊るように入れ替わり登場する人物の心理的、精神的展開を追う。
久しぶりに全体小説を味わった。

最後はリョーヴィンの自己肯定の悟りで終わる。

これが信仰か、信仰でないかは、おれにもわからないが、
しかしこの感情は、やっぱり知らずしらずのうちに、苦しみといっしょに、
おれの魂の中へはいりこんできて、そこにしっかり根をおろしてしまったんだ。
これからもおれは相変らず、御者のイワンに腹を立てたり、相変らず、議論をしたり、
とんでもないときに自分の思想を表明したりするだろう。
いや、相変らず、おれの魂の聖なるものと他人の魂とのあいだには、
たとえそれが妻の魂であっても、きっと、壁があるだろう。
そして相変らず、おれは自分の恐怖のために妻を責めたり、
すぐまたそれを後悔したりするだろう。
いや、相変らず、自分がなんのために祈るかわからないまま、祈りつづけていくだろう
しかしいまやこのおれの生活は、おれの生活全体は、おれにどんなことが起ろうと
いっさいおかまいなしに、その一分一分が、
以前のように無意味でないばかりか、疑いもなく善の意義をもっていて、
おれはそれを自分の生活に与えることができるのだ!


ドストエフスキーとトーマスマンも最大限の賛辞をこの小説に送っている。
ドストエフスキー
「芸術上の完璧であって、現代、ヨーロッパの文学中、
なに一つこれに比肩することのできないような作品である」
トーマス・マン
「このような見事な小説、少しの無駄もなく一気に読ませる書物、
全体の構造も細部の仕上げも一点非の打ちどころのない作品」
2013/7/30 アンナ・カレーニナ_b0217643_18421753.jpg






by totsutaki2 | 2013-07-30 21:44 | 読書

市民ランナーの市井の日常。 日々の出来事、感動を忘れないために
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