2012/12/8 幕末三舟伝8 南洲、海舟の初対面
【走った距離】 27.21km
【今月の累積距離】 91.18km
【天気】 くもり
【気温】 最高 8℃、最低 4℃
【コース】
自宅~会社~伏見
【コメント】
まさに英雄、英雄を知る。
元治元年九月、長州が京都へ押し上せてきて、一騒動起こしたのちのことであった。
西郷は、そのとき、沖永良部島に流されていたのが許されて、京都へ上っていた。
軍賦役という肩書きで、御留守居格であった。
勝は、神戸に海軍伝習所を設けていたが、門下には、乱暴者もいた。
浪士もいた。それに、幕府にとっては眼の仇の長州の書生もいた。
幕府の役人から見ると、勝の伝習所は、謀反人の巣窟のように思われていたが、
当人はいっこう平気でいた時代である。
南洲は大阪の宿屋に泊まっている海舟のところへ会見を申し込んだ。
年からいうと、海舟は南洲よりも、九歳の長、
まず惣領の兄と三男坊ぐらいな間柄になる。
したがって、南洲も前には諸先輩から、勝の噂話もチョイチョイ耳にしていたが、
まのあたり会うのは、初めてだった。
西郷のほうから、幕府の偏狭な方針を攻めたてて、海舟を打ち叩くつもりだった。
ところが、案外にも、幕人である海舟の意見のほうが、視野が広くかつ鋭い。
日月のこう然たるが如く、さらに暗翁がない。
で、西郷も、ひじょうに、勝の人物に惚れこんでしまった。
『勝という男、どれだけ智略のあるやら知れぬあんばい。
まず英雄肌の人物。学問と見識とは、佐久開象山抜群であるが、
この佐久間よりも事のできる点では、勝のほうがずっと上である』
会見後、西郷が大久保(利通)に与えた手紙の中で、こういうてる。
勝は、この鹿児島からポッと出の巨眼巨躯の田舎漢に対して、
どういう見方をしたであろうか。
これがまた約束したように南洲の人物に惚れこんだ。
男に惚れられるような男になれと俺かよくいうのは、ここだ。
女児に惚れられても、こはこれ一片の情縁、ふかくいうに足らず。
地に墜ちて、五尺の男児となる。
男に惚れられる修行をせんけりゃ、なんにもならぬ。
勝は、なんというたか。
『俺は、天下に恐ろしいものを二人見た。
一は横井平四郎、他は西郷隆盛。
横井は、西洋のことでも、別段たくさん知っているわけでない。
俺から聞いて、知っているくらいのものだが、その考えがいかにも高調子で、
梯子をかけても、俺は及ばぬと思ったことがたびたびある。
西郷と会ってみると、意見議論において、俺は彼に譲らなかった。
ひとり譲らなかったばかりでなく、彼に教えてやった。
だが、彼の器量は天下の大事を負担するに足ると思うた。
そこで、横井は自ら手を下してなす人ではないが、
もし西郷の如き人物が、横井の言を用いて立つことになると、
これは一大事、天下すでに定まるといってよろしい』
いかにも、眼が鋭い。
敬天愛人 西郷隆盛揮毫
【今月の累積距離】 91.18km
【天気】 くもり
【気温】 最高 8℃、最低 4℃
【コース】
自宅~会社~伏見
【コメント】
まさに英雄、英雄を知る。
元治元年九月、長州が京都へ押し上せてきて、一騒動起こしたのちのことであった。
西郷は、そのとき、沖永良部島に流されていたのが許されて、京都へ上っていた。
軍賦役という肩書きで、御留守居格であった。
勝は、神戸に海軍伝習所を設けていたが、門下には、乱暴者もいた。
浪士もいた。それに、幕府にとっては眼の仇の長州の書生もいた。
幕府の役人から見ると、勝の伝習所は、謀反人の巣窟のように思われていたが、
当人はいっこう平気でいた時代である。
南洲は大阪の宿屋に泊まっている海舟のところへ会見を申し込んだ。
年からいうと、海舟は南洲よりも、九歳の長、
まず惣領の兄と三男坊ぐらいな間柄になる。
したがって、南洲も前には諸先輩から、勝の噂話もチョイチョイ耳にしていたが、
まのあたり会うのは、初めてだった。
西郷のほうから、幕府の偏狭な方針を攻めたてて、海舟を打ち叩くつもりだった。
ところが、案外にも、幕人である海舟の意見のほうが、視野が広くかつ鋭い。
日月のこう然たるが如く、さらに暗翁がない。
で、西郷も、ひじょうに、勝の人物に惚れこんでしまった。
『勝という男、どれだけ智略のあるやら知れぬあんばい。
まず英雄肌の人物。学問と見識とは、佐久開象山抜群であるが、
この佐久間よりも事のできる点では、勝のほうがずっと上である』
会見後、西郷が大久保(利通)に与えた手紙の中で、こういうてる。
勝は、この鹿児島からポッと出の巨眼巨躯の田舎漢に対して、
どういう見方をしたであろうか。
これがまた約束したように南洲の人物に惚れこんだ。
男に惚れられるような男になれと俺かよくいうのは、ここだ。
女児に惚れられても、こはこれ一片の情縁、ふかくいうに足らず。
地に墜ちて、五尺の男児となる。
男に惚れられる修行をせんけりゃ、なんにもならぬ。
勝は、なんというたか。
『俺は、天下に恐ろしいものを二人見た。
一は横井平四郎、他は西郷隆盛。
横井は、西洋のことでも、別段たくさん知っているわけでない。
俺から聞いて、知っているくらいのものだが、その考えがいかにも高調子で、
梯子をかけても、俺は及ばぬと思ったことがたびたびある。
西郷と会ってみると、意見議論において、俺は彼に譲らなかった。
ひとり譲らなかったばかりでなく、彼に教えてやった。
だが、彼の器量は天下の大事を負担するに足ると思うた。
そこで、横井は自ら手を下してなす人ではないが、
もし西郷の如き人物が、横井の言を用いて立つことになると、
これは一大事、天下すでに定まるといってよろしい』
いかにも、眼が鋭い。
敬天愛人 西郷隆盛揮毫
by totsutaki2
| 2012-12-08 19:01
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